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古環境学研究室

スタッフ

  • 鹿島 薫 准教授
  • 岡﨑 裕典 准教授

小さな化石から過去の地球環境変動を探る

図1 九州の南東400kmに位置する九州‐パラオ海嶺北部で採取された過去15万年分の堆積物(長さ460cm)。巨大噴火による火山灰層がいくつか見られる。

 人間活動による土地利用や大気組成の改変は、地球環境変動に顕著な影響を与えるようになっており、新しい地質年代として人類の時代を意味するAnthropoceneが提案されるまでに至っています。変わりゆく地球環境をモニターするため精力的な観測が行われていますが、地球の気候や環境は観測記録よりも長い時間スケールで変化することが知られています。人間活動の影響がない自然の地球環境変動の実態を理解するためには、過去の気候や環境の情報を地質記録から読み解くことが有効な方法です。本研究分野では、主に海洋や湖沼の堆積物から新生代の地球環境変動を復元する古環境研究を行っています。

環境レコーダーとしての堆積物と微化石

図2 (左)珪藻殻(ケイ酸塩)に富む堆積物と、(右)有孔虫殻(炭酸カルシウム)に富む堆積物

 長い時間をかけて降り積もった海底や湖底の堆積物は、過去の地球環境変動を記録する天然のレコーダーです(図1)。堆積物中には、微化石と呼ばれる肉眼では観察できないほどの小さなプランクトンの化石が豊富に含まれています(図2)。これら微化石を分類し、群集組成変化を丹念に調べたり化学分析を行ったりすることで、彼らが棲息していた当時の環境や気候の変動史を解読する手がかりが得られます。

湖沼や湿原における古環境研究

図3 三方湖における調査風景

 湖沼や泥炭地の堆積物から、古環境の変動に関する多くの情報を得ることができます。堆積速度が速く、高解像度の環境復元か可能なことから、特に、1000年以内の短い時間スケールでの変動を解明することに適しています。津波、地球規模の温暖化、天然林の消失、砂漠の拡大など、人間生活に関わる重要な問題について、環境と人間活動との関わりの変遷を考察し、そして今後の将来予測のための重要な基礎データを導くことができます。

海洋における古環境研究

 深海底は陸上や浅海と比べて環境が安定しているため、長期間にわたり連続的に堆積物が堆積しやすいという特徴があります。このため1000年から数万年スケールを中心に新生代の環境変動を復元するのに適しています。深海底堆積物を採取するためには、研究船を用いた大掛かりな調査が必要となります。そこで、国内外の研究者とチームを組み、協力して海底堆積物を採取します。得られた試料は、共同作業で基礎データを取った後、各研究室に分配し、それぞれの得意とする分析を行います。当研究室では、主に珪質微化石群集(放散虫・珪藻・珪質鞭毛藻)や堆積物の主要化学成分、および有孔虫殻の安定同位体比分析を行っています。より正確な過去の海洋環境復元像を得るため、研究チームのメンバーが様々な分析データを持ち寄り、多方面からデータの整合性を検討します。このような共同研究が古海洋研究の大きな特徴です(図4)。

図4 (左)掘削船JOIDES Resolution号、(中央)ピストンコアによる海底堆積物採取の様子、(右)海底堆積物の分析データの例