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地球進化史研究室

スタッフ

  • 清川 昌一 准教授
  • 山崎 敦子 助教

地層記録から地球史・地球環境・テクトニクスを解読する

図1 オーストラリア西部クレバービル地域の太古代の地質図。太古代の海洋底玄武岩(緑色・灰色)の上位に縞状鉄鉱層(オレンジ色)や黒色チャート層(暗灰色)が重なる。(Kiyokawa et al. 2014)。

 地層は、地球表層部で生じたさまざまな環境変動を記録する最も優れたレコーダーです。地球表層部には、さまざまな周期で、テクトニクスや気候変動、また隕石衝突などのイベントを反映した地層が形成されます。これには、断層や褶曲などの変形構造と共に、海水準や生物多様性の変動が、堆積サイクル、砕屑物の組成変化、含まれる化石遺骸の記録として地層に保存されます。本研究分野の研究は、浮遊性微化石や同位体を用いた地層年代の決定、堆積造構環境を明らかにするための堆積相・変形相データの収集、砕屑物の組成の解析などを通して、地層中に残された変動記録を高い精度で解読し、地球表層部の進化過程を研究します。

 研究の対象となる地域には、国内の古〜新生界はもとより、海外の先カンブリア時代の地層を始め、様々な地域と時代を含みます。本分野では、地層記録から地球史を明らかにするために、以下の様な研究を行っています。

失われた海洋底の環境記録

図2 西オーストラリア・ピルバラ地域ハマスレー層群の縞状鉄鉱層(ブーゲーダ鉄鉱層:24.3億年前)

地球表層の7割は海洋地殻からできている、しかしプレートの沈み込みのために、1.8億年以前の海底環境を紐解くには、陸上に残された海洋底の記録を見つけ出す必要がある。日本列島には、付加体の一部として、海洋底起源地層が残されている。この失われた海洋底記録について、詳細な地質調査と年代情報を決める事で、失われた古海洋の地球環境記録を明らかにし、汎世界的な地球環境変動の解明を目指しています。

中生代:温暖化海洋の環境復元
古生代:パンサラッサ海洋の復元
新原生代:スノーボールアース時代
中原生代:安定化大陸時代
古原生代:大酸化事変
太古代:大陸の形成と酸素濃度上昇史

調査場所:オーストラリア、カナダ、南アフリカ、ガーナ、エジプト、ブラジル、東チモール、日本列島各地 etc.

太古代 原始海洋
図3 ガーナ23億年前の海底堆積層の分布状況。

 細菌の仲間のシアノバクテリアの活動により酸素の供給が始まりました。酸素は、原始海洋中に大量のイオンとして含まれていた鉄を酸化させ、太古代の海洋底に縞状鉄鉱床(BIF)を形成しました。BIFの出現は、地球の原始海洋での大きな変化を示します。

 BIFがどのような海洋環境下とメカニズムで生成するのか、などはまだ十分に明らかではありません。この分野では、当時の原始地球環境が地層記録としても最もよく以保存されているオーストラリア西部のピルバラ・クレーバビル地域(図1)やアフリカ、バーバートン帯が調査地域である。

原生代 海洋環境

 原生代は大陸の安定・分裂の時代になります。初期には酸素濃度上昇事変がおこり、海洋表層では生物が発生、海底はその分解により酸素が奪われ、無酸素でより硫化物に富むユーキシニック海洋になると言われています。大陸分裂時には大プルーム活動がおこり、ロディニアなどの超大陸の形成分裂もおこります。スノーボールアース事件も、地球表層環境の暴走事件として不安定な地球環境の記録を残しています。海底地層はこれらの記録が唯一保存されているタイムカプセルであり、これらの記録をいろいろな手法を使って、解きほぐしていきます。

現在進行形の地層形成記録

鉄沈殿(薩摩硫黄島・鬼界カルデラ)
図4 現在の鉄沈殿場:鹿児島県薩摩硫黄島(鬼界カルデラの外輪山が陸上にみられる。酸性温泉が流出し、海洋が酸性化している。)

 7300年前に起こった巨大カルデラ噴火(鬼界カルデラ)の痕跡について、海洋調査をもとに行っており、海底地形・音波探査により海底に埋もれているカルデラ噴火史を明らかにし、カルデラ噴火の周期やそれぞれの規模を決定し、将来の予知に役立てる。

 また、カルデラ周辺の現在の地質現象に注目し、(1)鉄沈殿の現世のアナロジーである鹿児島県硫黄島の海底火山活動域において (a)鉄沈殿メカニズム:熱水活動の長期観測・気象条件などとのリンクによる沈殿作用の解明 (b)熱水活動と生物活動:チムニーマウンドでのバクテリアの生物活動の解明 (c)野外証拠の収集と採集した試料の地球化学的分析を通して、原始海洋環境の復元と考察 (d)酸化海洋と生物活動:硫黄島周辺における強酸性温泉水の酸性海洋の生物活動の長期調査から、温暖化にむけての海洋システムの変化予測を試みる。