I. 始原生殖細胞の胚内制御機構 生物はなぜ連続的な存続が可能なのでしょう。それは「生殖」という、生命を特徴付ける根源的な性質によります。そしてこの生殖を担うのが「生殖細胞」です。この細胞、非常に重要であるがゆえに個体の一生を通じて大切に保護される必要があります。我々は、どのようにして生殖細胞が体の中で守られているのか、生殖細胞の本質とは何かといった問題に興味を持ち、鳥類胚の強みを活かした独創的な解析系を駆使することで日々これらの問題に取り組んでいます。
II. 四肢形成から器官発生の普遍原理を見出す また、我々は四肢 (手足) 形成をモデルとして器官発生の仕組みを解き明かすことも目指しています。具体的には、本来四肢を作らない細胞種から、ダイレクトリプログラミング、3次元培養系を駆使して、四肢を人為的に再構成させようとしています。その試みを通して、何が四肢前駆細胞を運命づけるのか、また四肢のパターニングにはどのような因子が必要かなどといった問いにアドレスします。 研究室HPはこちら
I. DNAは生命の設計図であり、遺伝情報は塩基の並びとしてDNAに保存されています。塩基は特定のペアで対合し、この対合が遺伝情報の複製や修復を可能にしています。我々は遺伝情報の維持、継承のメカニズムに興味を持って研究しており、最近では特に、塩基の誤対合に応答するDNA修復機構である、DNAミスマッチ修復の研究を進めています。塩基の誤った対合は、DNA複製の誤り、同一でない配列間の遺伝的組換え、塩基の化学的な損傷などによって生じます。ミスマッチ修復システムは、DNA複製の誤りを訂正し、正しくない組換えを中止させ、重大な塩基損傷に対応してアポトーシスを誘導します。ミスマッチ修復経路はどのようにしてこのような多様な応答を統御するのでしょう? 我々はこの興味深い反応を分子レベルで理解しようとしています。
II. 真核生物では、細胞分裂時に正確なDNA複製が行なわれることがゲノムの恒常性の維持に必須です。また同時に、染色体構造に組み込まれた情報の伝達、DNA損傷に対する応答、染色体を分配する反応等が、複製と連動して進行し、増殖する細胞にとって、その次世代の機能特性を決定する極めて重要な過程でもあります。我々はヒト細胞を材料として、分子生物学や生化学を中心にした手法によって染色体のDNA複製時の分子動態を理解し、それよって次世代の細胞の機能を決める反応過程を明らかにすることをめざしています。 研究室HPはこちら