九州大学理学部は、物理学科、化学科、地球惑星科学科、数学科、生物学科からなり、1939年の設置以来、80余年の歴史を刻んできています。これら5学科を基盤に基礎科学の多くの分野を網羅する教育研究が行われ、国内外で高い評価を受けています。これまでに巣立った1万5千人を超える卒業生が産・学・官の広い分野で活躍し、これからも一層の発展が期待されているところです。
ここで組織の話に触れますが、「理学部」が行う学部教育は、3学府が行う大学院教育に引き継がれます。「大学院理学府」が物理学、化学、地球惑星科学の3分野を、大学院数理学府が数学分野を、大学院システム生命科学府が生物学分野を、それぞれ担当しています。これら学部・学府の教育を支えながら研究活動を行う教員組織を研究院と称しており、物理学部門、化学部門、地球惑星科学部門、生物科学部門の4部門を擁する「大学院理学研究院」と、大学院数理学研究院とに、教員が所属しています。このホームページは、理学部、大学院理学府、ならびに大学院理学研究院のご案内となります。
さて、理学は自然科学の基礎に取り組む学問分野です。私たちは、自然を深く理解する知的好奇心に突き動かされ、事象の普遍性を解き明かし、知見の体系化を試みます。そのために、未知の事象を発見し、その起源を明らかにする最先端の研究に取り組みます。実験、観測、理論に基づく研究活動の中で、学生は論理的な思考力を鍛えます。知識を授ける授業では答えの分かった問題を扱いますが、研究では、答えの有無すら分からない問題に取り組む点が大きく異なります。この文字通り手探りの作業を楽しみながら、自由な発想で独創的な思考を生み出す過程で、理学教育が最も重視する「考える力」が磨かれてゆきます。理学部ではさらに、国際的に活躍するリーダー養成のための国際理学コースを設置し、グローバル人材の育成にも取り組んでいます。
理学部を卒業した学生の7~8割が、2年間の大学院修士課程に進学します。修士課程修了後、大半の学生は就職し、高度な理学専門家として活躍します。一方で、一部の学生は博士課程に進学して先端的な研究者を目指します。現状の博士進学率は1~2割ですが、昨今、博士課程の学生への経済的支援が充実し、今後、進学者の増加が期待されています。社会が理学部の学生を求める大きな理由は、今の課題への即戦力よりも、むしろ将来の予期しない新たな課題に柔軟な思考で対応する「考える力」に期待するからです。理学部とその大学院は、この考える力で世の中の新たな問題に果敢に立ち向かい、国際社会を牽引する人材の育成に注力しています。私たちの活動について、広報誌も合わせてご覧ください。
以上のように、九州大学理学部、大学院理学府、大学院理学研究院は、世界の共通言語である「科学」を武器に、広く社会で活躍する科学者を育成する高度な理学教育に取り組むとともに、科学技術を先導する世界最先端の研究活動を展開しています。このホームページでこれらの活動をご覧になって興味をお持ちいただき、是非ともご理解ご支援をいただけましたら幸いです。