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福田教授らが液晶の新たな秩序構造(渦状構造)形成を実証しました。

  • 2017年8月30日(水)

 九州大学大学院理学研究院の福田順一教授(研究開始時、産業技術総合研究所 機能化学研究部門/機能材料コンピューテショナルデザイン研究センター 主任研究員)は、ウクライナ国立科学アカデミー、リュブリャナ大学(スロベニア)、ヨーゼフシュテファン研究所(同)の研究グループと共同で、液晶の薄膜中においてハーフスカーミオンと呼ばれる渦状の秩序構造が自発的に形成されることを、理論的、実験的に初めて実証しました。

福田順一教授

 液晶はテレビや携帯電話のディスプレイに用いられる身近な材料ですが、様々な秩序構造を自発的に形成することが知られており、物理学の興味深い研究対象でもあります。今回着目したスカーミオンは様々な系で現れることが知られていますが、近年特に強磁性体において現れるものが注目を集めています。これまで議論されていた系とは全く異なる液晶の薄膜においてハーフスカーミオンが現れうることを、純粋な理論計算によって過去に示していましたが、今回の研究では、光学顕微鏡による観察に基づいて、数百ナノメートルの大きさのハーフスカーミオンが液晶中に実際に現れることを実験的に実証しました。その際、シミュレーションで得られた液晶の秩序構造が光学顕微鏡によってどのように見えるかについて理論計算を行なうことにより、実験で得られた顕微鏡像が実際にハーフスカーミオンに由来するものであることを明らかにしました。またハーフスカーミオンは格子を組むことも孤立した粒子のように振る舞うこともできること(参考図)、ハーフスカーミオンの格子は光学顕微鏡下で熱揺らぎによる明滅を示すことなどの興味深い振る舞いについても、理論と実験の両面からの考察を行ないました。本研究は液晶の構造材料、光学材料としての新たな可能性を示し、液晶と他の系(強磁性体など)との類似や相違点に関する新たな視点を与えるとともに、数百ナノメートル程度の微細な構造が光学顕微鏡によってどのように見えるかという理論的な難問の解決にもつながる成果です。

 本研究は、科学研究費補助金・基盤研究(B)(課題番号:17H02947)などの支援のもとに行われ、2017年8月28日に英国科学誌Nature Physicsにオンライン掲載されました。(https://doi.org/10.1038/nphys4245)

参考図:液晶がつくる渦状の構造(スカーミオン)の模式図。スカーミオンは格子を組むこともあれば(左)、孤立して存在することもある(右)。

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