HOME > 広報 > 九大理学部ニュース

九大理学部ニュース

物理物質と生命の普遍法則を求めて

別府 航早

Abstract a0601952

自発的に動く粒子(アクティブマター)が集団運動を出現させる仕組みとその共通性を理解する研究が近年注目を集めています。アクティブマターの代表であるバクテリア集団を円形容器に閉じ込めると渦運動が出現しますが、この根底にあるメカニズムは明らかになっていません。複雑流体研究室の別府さんらは、自由にデザインされた境界を用いた実験を行い数理モデルと結びつけることで渦の集団的パターンを操る仕組みを明らかにし、たったひとつの数式で示すことに成功しました。

続きを読む

地惑「地球外アミノ酸」リストに8種が加わる

古賀 俊貴

Abstract cc3dd96d

地球上の全生命に共通する原材料のアミノ酸は、地球に落下した隕石からも検出されます。この地球外アミノ酸は隕石母天体上で非生物的に、具体的にはストレッカー反応などで合成されたと考えられてきました。有機宇宙地球化学研究分野の古賀さんと奈良岡教授は、隕石母天体の環境を再現したアンプル内で加熱処理のみによって非生物的アミノ酸合成が進むことを確認しましたが、このときストレッカー反応ではつくられない種類のアミノ酸もできており、アンモニアを伴うホルモース型反応が起きたことがわかりました。続いて、これらのアミノ酸が実際の隕石に含まれているどうかを確認するためマーチソン隕石試料を分析し、新たに7種類のヒドロキシアミノ酸と1種類のβアミノジカルボン酸が地球外でも合成されることを確認しました。

続きを読む

化学局在プラズモンシートで細胞接着ナノ界面の観察に成功

増田 志穂美

Abstract 0294df26

光学顕微鏡には細胞を生きたまま観察できるという利点がある一方で、その原理上、拡大できるサイズに限界があることがわかっています。この限界よりもさらに小さなウイルスやタンパク質などの物質の動きを捉えるために、超分解能顕微鏡の開発が世界中で進められています。ナノ物性化学研究室の増田さんの研究グループは、金属微粒子シートの表面にきわめて近い部分で起こる局在表面プラズモン共鳴(LSPR)現象を利用することで、現在最も「薄い」領域の観察に用いられている全反射照明蛍光(TIRF)顕微鏡を超える、約10nmという「ナノ」領域のイメージングに世界で初めて成功しました。

続きを読む

生物AIDS研究の数理モデル

岩波 翔也

Abstract 4b6a133c

サル/ヒト免疫不全ウイルス(SHIV)は後天性免疫不全症候群(AIDS)の病態解明を探索する重要なツールとして利用されています。SHIVには異なる病原性を示す複数の株が存在しますが、それらの定量的な感染動態についてはほとんど研究が進んでいませんでした。数理生物学研究室の岩波翔也さんらの研究グループは、数理モデルを用いて培養細胞から得られたウイルス感染実験データを解析し、感染性のあるウイルスの産生効率の違いが、高病原性と弱病原性を決定付ける要因のひとつであることを明らかにしました。

続きを読む

地惑結晶の形に残された冷却の痕跡

佐野 恭平

Abstract d17db767

マグマが冷えて固まり火山岩になるまでに何が起こったかは、火山岩に含まれる結晶の大きさや数、形態によって推測することができます。黒曜石を生み出す溶岩噴火については、これまで火山岩のどこを見ればそのような過去の出来事がわかるのか調べられてきませんでした。地球惑星科学専攻の佐野さんと寅丸教授は、北海道遠軽町白滝地域の十勝石沢溶岩を解析し、火山岩に含まれる微小な斜長石結晶の表面に発達する突起状の組織(プロジェクション)の長さや幅が、溶岩の内側と外側の冷却過程の違いを反映していることを明らかにしました。

続きを読む

地惑大質量星からのアウトフローの観測

松下 祐子

Abstract d42c6a02

宇宙を知るためには、様々な星の誕生のメカニズムを解明することが重要です。しかし太陽の10倍程度以上の質量をもつ大質量星の誕生については、不明な点が多く残っていました。惑星系形成進化学研究分野の松下さんらの共同研究チームは、アルマ望遠鏡を用いて“オリオンKL電波源Iアイ”を観測し、大質量原始星から噴き出しているアウトフロー(ガスの流れ)の回転をとらえ、それが周辺に存在する円盤の回転と一致することを確認しました。このことは、円盤の遠心力と磁場の力によって、アウトフローが物質を宇宙空間に噴き出しているという理論予想を支持する観測結果であり、大質量星の形成メカニズムを解明する上で重要な成果です。

続きを読む

生物花粉を摂取して花粉症を治す

原 朱音

Abstract a5639765

あらかじめ花粉を摂取することで花粉症発症を予防しようという「アレルゲン免疫療法」が実用化されつつあります。しかし患者さんによっては、長期間治療を続けても効果が出なかったり、治療そのものによってアレルギーを発症してしまったりします。この療法がどのような体質・状態の患者さんに有効なのかを明らかにするため、数理生物学研究室の原さんらは、体内に入ったアレルギー原因物質と免疫機構が引き起こす生命現象を数式によって表現した数理モデルをつくりました。モデルを用いたシミュレーションによって、治療成功に必要な条件(Treg細胞が蓄積しやすい体質であること等)や、治療そのものによるアレルギー発症を防ぐ方法(花粉投与量を徐々に増やしていくこと)を明らかにしました。

続きを読む

地惑新鉱物・阿武石の発見

延寿 里美

Abstract 6217624d

山口県阿武町日の丸奈古鉱山では、世界的にも珍しい、リンを成分に含む様々な鉱物がみられます。その中に長らく正体がはっきりせず「ガトウンバ石様鉱物」と呼ばれていたものがありました。地球惑星物質科学分野所属の延寿さんと上原助教は、この石がフッ素を含む新種のアルミニウムリン酸塩鉱物であることを突きとめ、これを「阿武石」と命名しました。

続きを読む

生物炎症を防ぐ酵素タンパク質のしくみ

槇 光輝

Abstract e10e2625

免疫の過剰な応答は、アレルギーや炎症反応を引き起こします。私たちの体には免疫応答を厳密に制御する機構が備わっています。生体高分子学研究室の槇光輝さんらの研究グループは、ショウジョウバエをモデル生物として、架橋酵素であるトランスグルタミナーゼ(TG)が免疫応答に重要なNF-κB(転写因子)であるレリッシュを架橋し、過剰な免疫応答を抑制する分子機構を明らかにしました。昆虫と哺乳類のNF-κB経路はよく似ているため、今回のショウジョウバエでの発見がヒトの炎症疾患の原因解明や治療につながることが期待されます。

続きを読む

生物遺伝子に刻まれた自然史

池崎 由佳

Abstract a871468b

将来の環境変化によって生物に何が起こるかを予測するには、過去の環境変動時に何が起こったかを知ることが重要です。進化遺伝学研究室の池崎由佳さんらの国際研究グループは北米大陸に生息するヌマスギの核DNA翻訳領域の遺伝情報を読み取り、氷河期を包括する長い期間でのヌマスギ分布域の変遷を明らかにし、さらに環境変動後の局所適応にかかわった遺伝子の候補を特定しました。

続きを読む
1 2 3 4 5 ... 7