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平成28年度 奨学金受給者報告書

氏名 笹木 健太
学科・専攻、学年 化学科 3年
留学先(国名) シンガポール国立大学(シンガポール)
SHIMADZU(Asia Pacific)インターンシップ(シンガポール)
留学期間 平成28年8月1日~平成29年8月31日

留学内容全体について

 私は2016年8月1日から2017年8月31日までシンガポールに留学しました。そのうち2016年8月1日から2017年6月30日はシンガポール国立大学にて、九州大学の交換留学制度を利用して、講義受講及び研究活動を行い、2017年7月1日から2017年8月31日まではSHIMADZU(Asia Pacific) Pte. Ltd.にてインターンシップを行いました。

 シンガポール国立大学で私が在籍した2学期の間に受講した講義は、Chinese1,2, Transition Metal Chemistry, Instrumental Analysis2, Chemical Engineering Principles, Structural Method in Inorganic Chemistry, Crystal Engineeringです。専門分野の講義から学んだことは非常に多く、日本では学部生が学べないようなハイレベルな内容を多く学びました。私はいくつか院生対象の講義も取っており、非常にレベルは高いものでしたが、それだけその分野では同学年の誰にも負けない自信がつきました。またシンガポールの学部生は一般に日本の学部生と比較して、非常によく勉強するので、彼らに成績で負けないように勉強するのは本当に苦労しました。専門分野のみならず、シンガポールの公用語の一つである中国語の講義も取り、日常生活で本当に役立つ中国語を、実践を通して楽しみながら学びました。

ラボでの様子

 私の二学期目では講義と並行しながら、配位化学や結晶工学を専門とするProf. J. J. Vittalの研究室で毎日研究活動を行いました。研究内容は多孔性配位高分子のUV反応性というもので、様々な金属や配位子を用いながら、結晶を作り、構造決定や性質決定、さらにはUV反応性を調べていました。私の専門分野で通常用いる分析機器の使い方や原理、またデータ解析用のソフトの使い方等も深く学べて、実りのあるものとなりました。研究室では毎週Weekly Reportを提出し、教授とディスカッションを行った他、毎週行われるゼミでも研究の進捗を発表し、研究室のメンバーから建設的な意見をもらったりしていました。最終的に私の残した成果を元に論文を発表することになりました。

 インターンシップに関しては、主にタンパク質やDNAを対象として、MALDI-TOFやLCMSなどの分析機器の使い方をマスターし、またとない良い経験となりました。

他国の人たちとの交流を通じてどのような変化がありましたか?

 私は一学期目には主に中国や韓国、イギリスなどから来た留学生たちとご飯を食べに行ったり、卓球やバドミントンを楽しんだりし、二学期目以降は主にシンガポール人と頻繁に交流しました。私は留学の初め、きれいな英語を話そうと努力していましたが、彼らとの交流を通じて、話される英語の多様さにまず驚かされ、どんな形であれそれは英語であり、伝わればよいという認識に変わりました。二学期目以降に私の英語はみるみるうちにシングリッシュへと変化し、全く美しいとは言えない英語を今ではしゃべるようになりましたが、どこに旅行へ行ってもその英語が伝わらないことはなかったので、結果としては良かったと思います。また、必ずしも良い側面ばかりではなく、世の中には多種多様な人種がいて、その人種差別という深刻な問題も目の当たりにしました。今まで日本にいて日本人であるというだけで差別を受けたことはありませんでしたが、特に欧米人などと接する際には、アジア人であるというだけで厳しく扱われたこともありました。それも長期留学ゆえの良い経験だったと思います。

留学によって変化が見られた事項について

 前述のとおり、語学力に関しては上達し、なまっている英語でも聞き取り、意味を理解することにあまり苦労しなくなりました。スピーキングに関しても、シングリッシュであまり美しくはないですが、自分の思うことをある程度は言うことができるようになりました。また、講義や研究室等もすべて英語であったため、化学に関する英語が非常に上達しました。まだ分からない単語も多々ありますが、突然「英語でプレゼンしろ」と言われても困らないレベルには達したと思います。

 アプローチや思考方法については学問自体が世界共通なので日本にいたときと比べさほど変化するということはありませんでしたが、強いて言えば、より単純に、より実践的に物事を理解するようにはなりました。さらに、社会に役に立つ研究と新しい学問分野の創出が如何に重要かということも意識するようになりました。

今回の留学がこれからの進路にどのように活かされますか?

 今回の留学で行った研究で、Ph.Dの学生やポスドクなどと共に研究し、そして悪くない成果を残すことができ、海外で研究も何とか乗り切れたと思うので、ひとまず研究の道に進んでゆこうかなとは考えるようになりました。しかし、まだ私は学部3年生で、なおかつ未熟であり、研究室配属も事実上まだ行われていないため、詳しい研究分野や、将来的に企業で研究するのか大学で研究するのかはまだ分かりません。これから日本でも様々なことに挑戦し、もっと豊富な経験を積み、自分の人生の最適解を手探りで見つけていきたいと思っています。

インターンシップ先での集合写真

後輩に向けて留学して良かった事、準備しておけば良かった事等について

 留学して良かったのは、まず語学力が伸びたということもありますが、それ以外にも専門分野をある程度絞って学んでいたため、その分野の知識や理解を英語で著しく深めることができたというのも非常に良かったです。また2つ目に、ありきたりな言葉ではありますが、「視野」が本当に広がったと思います。経験の多さは「視野」の広がりに直接的に寄与し、その二つは比例関係にあると私は考えているので、留学での多種多様な経験は単純に「視野」を広げ、今後自分の人生における選択の手助けをすると考えています。そして3つ目に、第2の母国ができるということです。これは本当にかけがえのないことで、日本以外に安心して住める国があり、そこに気心知れた友人がいるというのは、とても素敵なことだと思います。長期留学は留年や煩雑な事務手続き等、デメリットも多々ありますが、海外という場で様々な活動に積極的に取り組むことで、それを上回るメリットを自分で無限に創出できるというのが、最大のメリットなので、みなさんも一歩踏み出して長期留学に是非挑戦してみてください!

 反対に準備しておけば良いことでは、国際政治経済のことを英語で議論できるようにしておくことは国際社会を生きる大人としての常識です。ニュースから学び、しっかり自分の考えや意見を持ちましょう。さらに専門分野のしっかりした学習も非常に重要であり、一般の大学学部生に見受けられるような「単位が取れればよい」勉強から一刻も早く脱却し、高いレベルの学力を予め身につけておきましょう。