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大学関係予算の策定についての意見書
平成22年12月10日
国立大学法人10大学理学部長会議
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 平成23年度概算要求における、文部科学省の大変なご努力に感謝いたします。その予算決定に向け、最終段階を迎えているなか、基礎科学を担う理学部の長として意見を申し述べたいと思います。
 基礎科学を進める上で、基礎的な経費を確保することが極めて重要であることは、これまでの理学部長会議の声明でも繰り返し述べたとおりです。運営費交付金と、科学研究費がその中核となります。日本の教育研究の基盤である国立大学法人では、平成16年度から平成22年度まで、運営費交付金が830億円削減されました。このため、経営の合理化や外部資金の導入などで多大な努力をして来ましたが、定員削減で教職課程の教育認証ができなくなる学科が生じるなど、重大な支障が起きています。それに加えて、この間の削減に匹敵するような削減が単年度で課せられたならば、多くの大学の運営は崩壊の危機に瀕します。また、基礎科学を進めるには基盤となる研究経費を安定的に確保し、ボトムアップの研究を促進することが必須であり、これには研究者コミューニテイによる公正な審査を経る科学研究費補助金を充実させる必要があります。
 大学の大きな役割である学生教育および若手研究者育成のための予算の確保も、将来の社会のための人材育成に欠くべからざるものです。ポスドクは、研究の最前線を推進しており、その雇用と研究支援は極めて重要です。このためには要望枠の中で#1906-I(1)の1.若手向け科研費と2.学術振興会PD特別研究員制度は、是非とも堅持する必要があります。さらに、大学院学生の経済的支援や研究支援は、日本の科学技術の持続的発展に向けて将来を担う人材育成の面からも充実する必要があります。特に、要望枠にある#1904の2.授業料免除と奨学金拡大は重要です。いずれの施策も、個々の大学の自助努力で対応できるものではなく、「国の事業としては廃止」すべき性質のものではありません。
 科学研究は国際的な競争と協力の中で進められます。そのため、国際舞台で若者が逞しく育つことを支援する施策も重要です。学部生や大学院生、そして若手研究者を、様々な機会に海外展開させることが必要です。いくつかの大学で、立ち上げに向け、学内規程改正を含む多大な努力を行って来たG-30プログラムは、学生の国際化を早い段階から推進するものであり、乱暴に中止するのではなく、現場の実情に見合う適切なプログラムに収束されることを望みます。これに関係する要望枠の項目は、#1906-I(2)の1.若手海外派遣プログラムと2.戦略的国際協力推進プログラム、#1905の2学生の双方向交流です。
 大学院教育強化のための施策としては、現在進行中のGCOEの中間評価をまとめ、その成果を正しく評価することを強く希望します。「全然駄目」や、間接経費を中止したにも関わらず「前回の仕分けの結果を無視」と言う、事業仕分けチームの無理解かつ乱暴な評価を放置してはならないと考えます。また、「リーディング大学」院構想をいたずらに急がず、まずGCOEを総括して、次の大学院強化策を、教育研究現場と協力して立案すべきです。
 今回の平成23年度の概算要求の仕方や(再)事業仕分け、そして政策コンテストの進め方は、長期的視点に立った研究教育政策の策定には全くなじまないものであることをはからずも証明しているのではないでしょうか。もちろん、事業仕分けや政策コンテストのコメントの中には、極めて複雑な支援制度への批判など、傾聴すべき意見もありました。しかしながら、事業仕分けや政策コンテストは極めて短時間に行われ、しかも研究教育現場の実情を熟知しない人々の意見が投げられるだけで、決して建設的な議論の場になっていません。今回、文部科学省の概算要求案に対しては、多くの関係者が危機感をもってパブリックコメントを出しました。これが一部で組織票のように見られたのは残念なことです。わが国の理学研究の基盤を担う私たちは、今後も建設的な形で協力をして行きたいと考えております。政策策定の最終段階とお聞きますが、以上の意見が少しでも反映される事を期待します。
国立大学法人10大学理学部長会議 構成メンバー
北海道大学理学部長 山口 佳三
東北大学理学部長 花輪 公雄
筑波大学理学系組織連絡会議議長 木越 英夫
東京大学理学部長 山形 俊男
東京工業大学理学部長 岡 眞 (議長)
名古屋大学理学部長 國枝 秀世
京都大学理学部長 吉川 研一
大阪大学理学部長 東島 清
広島大学理学部長 出口 博則
九州大学理学部長 荒殿 誠
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